砂と人類: いかにして砂が文明を変容させたか

砂と人類: いかにして砂が文明を変容させたか(ヴィンス・バイザー 著)|読書メモの一覧【Read swim】

砂と人類: いかにして砂が文明を変容させたか

砂と人類: いかにして砂が文明を変容させたか

ヴィンス・バイザー 著, 2020-03-02

人類社会を形作るもの、それは「砂」。
その砂はいま、地球から姿を消そうとしている……


私たちの暮らす建物、通勤する道路。携帯電話、シェールオイル。
現代人に不可欠なこれらのものはすべて「砂」からできている、
または砂がなければ得られないものだ。
この身近過ぎて普段意識さえしない小さな物質は、
実際には世界で最も消費され、必要とされる物質である。
その砂と人間長きにわたる付き合い、とくにこの数百年の
砂なくしてはあり得なかった発展―20世紀のコンクリートの発明と、
21世紀のデジタル技術―を紐解きながら、
いま砂が瀕している危機を見つめる。
体当たりの取材と詳細なデータをもとに圧巻の筆致で描く、
瞠目の本格ノンフィクション。


<内容より>
■第一部 砂はいかにして20世紀の工業化した世界をつくったのか
都市の骨格
善意で舗装された道はどこに続くのか
なんでも見えるようにしてくれるもの

■第二部 砂はいかにして21世紀のグローバル化したデジタルの世界をつくったのか
高度技術と高純度
フラッキングを推し進めるもの
消えるマイアミビーチ
人がつくりし土地
砂漠との闘い
コンクリートの世界征服
砂を越えて

1900年にはアメリカで登録されていた自動車はわずか8000台だった。
だが、品質が改善されると売り上げは急激に伸びる。
1908年、ヘンリー・フォードによってT型フォードが発売された。
1912年までに100万台近い車がアメリカの道路を走っており、その10%がこのT型フォードだった。

@yuji 2025-01-22 11:58:43

道路建設の市場では、アスファルト産業とコンクリート産業のライバル関係が続いている。
黒色の道路がアスファルト舗装で、灰色がコンクリート舗装である。
アスファルトもコンクリートも、基本的には砂利や砂がくっついているだけのものだ。
違いは結合剤にあり、アスファルト舗装ではアスファルトが、コンクリート舗装ではセメントが結合剤として使われている。
一般に、アスファルトの長所は敷設と意地が安価で、滑らかで静かな乗り心地が得られることだ。
一方、コンクリートの長所は、長持ちすることと修理がそれほど必要とならないことだ。

@yuji 2025-01-22 11:58:36

人間が用いる石英の砂粒のほとんどは、浸食作用によって形成されたものだ。
風や雨、繰り返される凍結と融解、微生物、その他の自然の力によって、
山や岩石層は侵食され、そのむき出しになった表面が砕かれて小さな粒ができる。

それが雨によって下へ下へと運ばれて川に流れ込み、
川は数えきれないほどの砂粒を何トンも、はるか離れた場所へと運ぶのだ。

こうして水によって運ばれた砂は川床や河岸、そして川が海へと流れ込む海岸などに堆積する。
何世紀ものあいだ、川が岸を越えて氾濫し、流路を変え、やがては巨大な砂の堆積が乾いた地面に残されるということが繰り返される。

何億年もかけて、砂は新しくできた堆積物の層の下に埋もれては、
隆起して新しい山となり、そして再び侵食されて運ばれるということを繰り返す。

@yuji 2025-01-22 11:58:29